- 2008-07-27 (Sun) 20:02
- translation
How to write with style という カート・ヴォネガット のエッセイを、Reddit で最近知りました。面白いなと思ったので、翻訳してみました。Keep it simple とかいいながら、後半めちゃくちゃになっていく、このおっさん…
ちなみに、多分これは、パブリックドメインではないだろうし、著作権も残っているでしょう。
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スタイルをもって書く方法
- author
- Kurt Vonnegut
- translation
- takashi mizohata
新聞記者や Tech ライターは、記事の中に個人的なことを何一つ書かないように訓練されている。これは物書き世界においてはとても異端なことだ。一方で墨染みの悪漢どもは自分たちの事ばかり読者に向けて書いている。これは暴露と呼ばれ、偶然であれ意図的であれ、スタイルの要素だ。
こういった暴露は、読者としての僕らがどんな種類の人間とこれから一緒に時間を過ごすのかを教えてくれる。この物書きは、無教養なのか見聞が広いのか、間抜けなのか聡明なのか、ひねくれたやつなのか正直者か、糞まじめなやつか滑稽なやつか…などなど。
なぜ自分の書くスタイルを、改善することを念頭に、検証するべきなのだろう?まずは何を書くにしても、読者への敬意としてすべき。どんな方法であれ自分の考えを書き散らすだけだとしたら、読者は間違いなく感じるのだ。この著者は読者のことなんて全く考えてないと。自負心が強すぎるとか、トンマとか、あるいはそれ以下の判断のもと、彼らは君の書いたものを読むことを止める。
自分が何に興味があるか、何に興味が無いのかを知らせることは、最も破滅的な暴露だろう。何を見せるか、あるいは何を読者に考えさせるかを、書き手自身が決めるような物書きを、君自身も嫌いじゃない?頭が空っぽの物書きが言語の熟練に関して書いてることを、君は一度でも敬服したことがある?無いよね。
だから、君自身のスタイルは、君の考えから始める必要がある。
君の気にすることを見つけよう
君が気にかけていることで、心の底から他の人も気にかけるべきと思うことを見つけよう。これが正真正銘の気遣いで、言葉遊びではない。そして最も抵抗しがたく、魅力的な要素だ。
僕は何も君に小説を書いてくれるように促しているわけじゃない。いや、まぁもし君が、本物の気遣いをもって何かを書いたなら、まったくもって悪いとは思わないけれども。家の目の前の道路に出来た深い穴に関する市長への嘆願書とか、隣に住む女の子へのラヴレターはそういう本物の気遣いだよね。
でもただとりとめもなく話せばいいってことじゃない。
僕は長々とおしゃべりしたりはしない。
キープ・イット・シンプル
言葉の使い方として: ウィリアム・シェークスピア (William Shakespeare) とジェームス・ジョイス (James Joyce) のことを考えてみよう。二人は偉大なる言語の達人だ。二人とも、最も深遠な題材をほとんど子どもみたいな言葉で書きしるす。
“Should I act upon the urgings that I feel, or remain passive and thus cease to exist?”
“To be or not to be?”
シェークスピアのハムレットは「生きるべきか死ぬべきか」と言った。一番長い単語 (訳注: not) ですら3文字しか無い。
ジョイスが陽気な時は、クレオパトラのネックレスほどに錯綜した文章を編み出すこともあったが、僕のお気に入りは短編の “Eveline” から: 「彼女は疲れていた。 (訳注: She was tired.) 」この一文が出てくる部分までで、他のいかな言葉も、この三語ほど読者の心をつかまなかった。
言葉の単純さは、評価されるだけでなく、神聖ですらある。聖書は 14歳の書くような瑞々しい一文で始まる。「 初めに、神が天と地を創造した。」
削る勇気を持とう
例えばね、もしかしたら、君にもクレオパトラのネックレスを作ることが出来るかもしれない。だけど君の雄弁さは君の中のアイデアのしもべであるべき。君の従うべきことは: もしどんなに優雅な文章であっても、それによって君の題材が新しく方法かつ有益な様に輝かないのであれば、消してしまえ。
君らしく語る
君にとって一番自然なスタイルは、子供の頃に聞いた話し方が反映されている。小説家ジョセフ・コンラッド (Joseph Conrad) にとって英語は第三言語だったけれど、彼の英語の使い方はとても小気味よく、彼の母語、つまりポーランド語に彩られていることは間違いない。そして幸運なことに、彼はアイルランドで育ち、かの地の口語英語はとても陽気で音楽的なのだ。僕自身はインディアナポリスで育って、そこでは旋盤がブリキを切り裂くようなのが普通のしゃべり方だった。そしてモンキーレンチの装飾性を語るのと同じくらいの語彙しか用いない。
もうすこし離れた山あいのアパラチアでは、子供たちは、未だにエリザベス女王時代の言葉遣いや歌を聴きながら育つ。そう、多くのアメリカ人が英語以外の言語を聞きながら育つのだけれども、大多数のアメリカ人は英語方言を理解することができない。
蝶の多様な紋様が美しいのと等しく、こういった凡ての話語の多様性は美しい。君の母語が何であれ、君の人生でそれは宝物としてとっておくべきだよ。もしそれが標準英語じゃなかったとしても、そしてもし君が標準英語を書いている時にそれが出てきてしまうとしても、普通はとても喜ばしいものができる。例えば片目が緑でもう片方が青い、とても可愛い女の子ようにね。
気がついたのは、僕がインディアナポリスから来た人みたいな書き方をした時に、僕自身自分の書いたことを信用できるし、他の人が僕の書いたのを最も信用できるのもそういう時、つまりそれは僕自身ということ。他にどうしろって言うの?熱烈に教師が推薦するやり方は、君にも間違いなく押しつけらていると思うけれど、1世紀とかそれ以上前の、教養のある英国人とかそういう書き方でしょ。
自分の言いたい様に言おう
昔そういう先生たちに僕はすごくイライラさせられていたけれど、もうそんなことはない。今はこういうことだってわかったから。つまり、僕の書いた作品たちが比較されていた、骨董品のエッセイや物語は、時代遅れ感や異邦性という理由からそんなに素晴らしくない、いや正確に言えば、その著者たちの言わんとする意味おいて、あまり素晴らしくないんだ。僕を教えてくれてた先生たちは、僕がもっと正確に書くことを願っていった。いつも最も効果的な語を選び、例えば工業製品の部品のような厳格に曖昧さなく、言葉と言葉の意味の繋ぐ。結局のところ、彼らは僕に英国人になってほしくなんてちっともなかったのに。僕の書くことが理解可能になりさえすれば、と願っていた。そうすれば彼らが僕を理解することができるからね。
そして僕の夢は消えていった。パブロ・ピカソが絵画の世界でやったようなことや、ジャズの巨匠たちが音楽の世界でやったようなことを 、僕はいつか言葉の世界でやってみたかった。でももし僕が句読法のルールを凡て破り捨てたら、僕が勝手に思う意味で単語を使ったら、そしてそれらの単語を一緒くたにめちゃくちゃに並べたら、単純に僕は理解されない。だから君もピカソ・スタイルやジャズ・スタイルの書き方は避けるべきなんだ。もし君に何か言いたいことがあって、それを理解してほしいと願うなら。
読者は、僕らのページが彼らが今まで見たことのあるようなページであってほしいと思ってる。なぜ?それはつまり、彼ら自身もタフな仕事を持っていて、彼らは僕らに助けを求めているからだろうね。
読者に同情
読者は紙の上の数千もの小さな記号を識別しなくてはいけなくて、すぐにそれらを理解しなくてはいけない。彼らは読まなくてはいけないし、読むということは、とても難しい技術で、小学校から高校まで12年間勉強するけれど、多くの人が実は習得しない。
つまりこの議論は、著者としての僕らのスタイルの選択肢はたくさんも無いし艶やかでもないことを遂に了承する。僕らの読者はこんなにも完璧ではない技術者なのだ。聴衆は僕らに、賛同的かつ辛抱強い教師であることを求め、美声の歌声が高く舞い上がるように、僕ら著者が雲の上まで高く舞い上がるのではなく、僕らが喜んで単純化して明確化することを求めているんだ。
これは悪い知らせだね。よい知らせは、僕らアメリカ人は非常に類い稀な憲法に護られていて、僕らは刑罰の恐れなく何についてでも書くことができる。だからもっとも意味のある視点としての僕らの書くスタイルは、何を書くかなんだ。それには徹底的に制限が無い。
本当に詳細なアドヴァイス
字義的な狭い意味でのスタイルについては、次の本に君の注意を命令する。The Elements of Style (Elements of Style) by William Strunk, Jr. and E.B. White。E.B. White はもちろん、この国が生み出した崇拝すべき文学様式研究者だ。
もし完璧なまでに魅惑的な伝えたいことを、White氏が持っていなかったとしても、彼自身どれほど良くあるいは悪く表現したか、誰も気にしないということを君は認識すべきだよ。
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